抄録
岩手県北上高地の北部において,ニホンジカ(Cervus nippon,以下シカと記す)の日周活動を調査した.約336 km2の調査林内に80台の自動撮影カメラを設置した.設置期間は2011年6月25日から8月19日の56日間で,調査努力量は延べ3,206日・台だった.その間に撮影されたシカの動画は112本,連続撮影の影響を考慮して算出したイベント数は50件だった.最もイベント数の多かった時間帯は日没後の19時台で,日中と夜間の比較では夜間の撮影が多かった.このため,調査地のシカの捕獲には,夜間の罠猟や日没前の待ち伏せ式の銃猟,日中の追い出しによる銃猟が有効と考えられた.事前に活動時間帯を調査しておくことで,シカの捕獲作業を効率化できると思われる.