2016 年 35 巻 4 号 p. 52-71
近年,感覚マーケティングに大きな注目が集まっている。特に小売店舗においては,市場環境の変化により,感覚マーケティングに寄せられる期待が高まっている。こうした中,店舗空間における感覚マーケティングを取り上げ,その影響の大きさと実務への適用可能性を検討することには大きな意義があるだろう。本稿では,まず,感覚マーケティングの議論の特徴に触れ,研究動向を感覚ごとに紹介することで,店舗空間における感覚マーケティングの概要を明らかにする。その後,感覚刺激間の適合性,店舗・製品特性と感覚刺激の適合性,消費者特性と感覚刺激の適合性の視点から先行研究を整理し,実務における活用方針を検討する。さらに,店舗空間において感覚マーケティングを展開する際の検討課題を指摘し,今後の研究上の課題について言及していく。