マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
35 巻 , 4 号
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巻頭言
論文
  • ― プロスペクト理論と神経経済学からの展望 ―
    竹村 和久
    2016 年 35 巻 4 号 p. 6-26
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー

    本論文では,気分や情動などの感情が経済行動の意思決定に及ぼす効果について,行動経済学や神経経済学の分野でも特に近年盛んに研究されているプロスペクト理論の観点から説明を行い,プロスペクト理論と感情の問題の関係や,それに関する神経科学的知見について説明を行った。本論文では,まず感情の定義や感情研究の経緯を簡単に述べ,感情操作や感情測定の方法について説明した。次に,意思決定現象を説明するプロスペクト理論の概説を行い,感情の経済行動の意思決定への効果についてのプロスペクト理論に基づく説明とそれに関連する実験例の紹介を行い,さらにプロスペクト理論と感情に関する神経経済学の知見をもとに感情の意思決定への効果についての理論的考察を行った。最後に,これらの知見の消費者行動研究やマーケティング実務への含意について考察した。

  • 石淵 順也
    2016 年 35 巻 4 号 p. 27-51
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,店舗内行動研究の2つの下位分野である動線研究,店舗感情研究の成果を統合した研究枠組みに基づき,快感情が快楽的価値の提供や衝動購買の促進だけでなく創造的購買を促進すること,創造的購買が長期的来店行動を促進すること,その結果として消費者と小売店の長期的関係構築に快感情が寄与することを明らかにすることである。
    既存研究の検討から,店舗内行動研究の課題を整理し,課題解決のため心理学分野の快感情と創造性に関する研究成果を援用し,4つの仮説を構築した。百貨店の地下食品売場の来店客の調査データを基に仮説検証を行い,快感情が消費者の創造性を高めること,快感情は創造的購買を促進すること,動線長は快感情を考慮した場合,狭義の非計画購買に影響しないこと,創造的購買は消費者の長期的来店行動に正の影響を与えることが確認された。
    小売企業,メーカーにとって計画購買を高めること,小売企業にとって衝動購買を高めることの重要性はこれまでも指摘されてきたが,快感情を通じて創造的購買を高めることが消費者と小売店の長期的関係構築に有用であることを明らかにした。

  • 石井 裕明, 平木 いくみ
    2016 年 35 巻 4 号 p. 52-71
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー

    近年,感覚マーケティングに大きな注目が集まっている。特に小売店舗においては,市場環境の変化により,感覚マーケティングに寄せられる期待が高まっている。こうした中,店舗空間における感覚マーケティングを取り上げ,その影響の大きさと実務への適用可能性を検討することには大きな意義があるだろう。本稿では,まず,感覚マーケティングの議論の特徴に触れ,研究動向を感覚ごとに紹介することで,店舗空間における感覚マーケティングの概要を明らかにする。その後,感覚刺激間の適合性,店舗・製品特性と感覚刺激の適合性,消費者特性と感覚刺激の適合性の視点から先行研究を整理し,実務における活用方針を検討する。さらに,店舗空間において感覚マーケティングを展開する際の検討課題を指摘し,今後の研究上の課題について言及していく。

  • ─ 身体化認知理論に基づく考察 ─
    外川 拓, 石井 裕明, 朴 宰佑
    2016 年 35 巻 4 号 p. 72-89
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー

    近年の研究では,本来,消費者の判断と直接的に関連していない触覚情報,すなわち非診断的触覚情報が,意思決定に無意識のうちに影響を及ぼすことが明らかにされている。本稿では,非診断的触覚情報のなかでも特に硬さと重さに注目し,これらが消費者の意思決定に及ぼす影響について,身体化認知理論をもとに考察した。硬さに注目した実験1と実験2では,硬さの経験が本来関連のない製品に対する知覚品質を向上させたり,サービスの失敗に対する金銭的補償の要求水準を高めたりすることが明らかになった。重さに注目した実験3と実験4では,重さの経験が本来関連のない製品に対する信頼性や製品情報に関する記憶想起を高めることが明らかになった。最後に,これらの結果を踏まえ,本研究の意義と課題について議論を行った。

  • ─ 南町田グランベリーモールにおけるGPS調査を通じて ─
    永井 竜之介, 恩藏 直人, 大嶋 俊之
    2016 年 35 巻 4 号 p. 90-104
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー

    これまでの消費者行動研究において特定店舗内を対象とした購買行動研究は数多く取り組まれてきているが,利用店舗選択から購買行動へと結びつく一連の場である複合型商業施設を対象とした買い回り行動の解明はほとんど試みられていない。本研究は,複合型商業施設における買い回り行動について,GPSデータを用いて感情研究の視点から考察している。
    都心型アウトレットモールである南町田グランベリーモールで,実際の消費者を対象にGPS調査を実施し,回遊距離や行動範囲,立ち止まり傾向といった行動特性と買い回り行動との結びつきについて検証した。また,購買前に抱いている事前感情が買い回り行動に与える影響についても検証している。探索的な分析を通じて,11秒以上の立ち止まり箇所数の増加により,消費者の非計画購買は促進することが明らかになった。

  • ─ クックパッド・楽天レシピ 比較事例研究 ─
    青木 慶
    2016 年 35 巻 4 号 p. 105-125
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー

    Web2.0以降,消費者は情報の受け手であるだけではなく,発信者としても重要な役割を担うようになってきた。消費者発の情報をビジネスに取り入れて,価値共創を実現する企業が多く見られ始めている。例えば月間のべ利用者が5000万人を超え,日本最大のレシピサイトである『クックパッド』では消費者から200万を超えるレシピが投稿され,同社の基幹コンテンツを形成する。なぜ消費者は企業にアイデアを提供するのか。
    本稿では,企業と消費者の持続的な共創活動について示唆を得ることを目的とし,『クックパッド』と『楽天レシピ』の共創参加者(投稿経験者)1000人を対象に,彼らのモチベーションについて質問票調査を実施した。後者は金銭的インセンティブを導入している点で前者と異なる。
    調査の結果,他者からのフィードバックあるいは金銭的インセンティブが,それぞれ参加者のモチベーションと重要な関連性があることが実証的に明らかになった。また,どちらにも投稿している併用者が一定数存在し,彼らのモチベーションはインセンティブに因らない高次の目的にあることが探索的に明らかになった。

取材レポート
テーマ書評
  • 本條 晴一郎
    2016 年 35 巻 4 号 p. 150-168
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー

    新製品開発において,(i) 新製品やプロセスのニーズに関連して特定されるトレンドの最先端に存在し,(ii) それらのニーズが解決されることによって比較的高い純便益が得られると期待しているリードユーザーを組み込むリードユーザー法が有効であることは,3Mの事例などから明らかになっている。本稿では,リードユーザー法の根拠を,イノベーションの源泉についての研究,および,リードユーザーを特徴付ける構成概念であるリードユーザーネスについての研究を概観することで整理する。そして,リードユーザーネスを用いた定量的研究の結果から,リードユーザーの特徴について述べた上で,実務におけるリードユーザー法と操作化された構成概念であるリードユーザーネスの間にギャップが存在することを指摘する。最後に,分野限定的な構成概念であるリードユーザーネスには,(1) 分野を超えた有効性をもつ可能性の確認,(2) 注目する分野のレベルを変えた場合の概念の頑健性の確認,(3) 新規事業を起こすような革新的行動との関係の明確化という課題が残されていることを述べる。

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