2020 年 39 巻 3 号 p. 116-124
家具販売大手であるニトリは,2007年の大規模リコール事件を契機に,製品安全・品質管理を自社の最大のテーマとする方針転換を実施し,製造元企業への積極的な経営・技術指導や,自社の組織風土改革を推進してきている。それらの成果として,家具販売の競合他社を引き離して32期連続の増収増益,世界576店舗までの圧倒的な量的拡大を実現しつつも,経済産業省主催の製品安全対策優良企業表彰において二回連続で経済産業大臣賞(最高賞)を受賞するという快挙を両立した。製造物責任の時代を超えて,企業やその商品・サービスがどのようにして社会と共生していくのか,という視点で見るとき,今までのニトリの一般的イメージとは違う真の姿が見えてきた。