2026 年 46 巻 3 号 p. 307-316
本稿は,近年ブランドの実務で重視されるブランドの世界観について,その理論的基盤を明らかにすることを目的に,コンテンツ研究における世界構築研究を探索的にレビューした。まず,世界観の一般的用法やブランド研究における議論を整理し,近接概念との違いを検討したうえで,世界構築の研究を概念,構成要素,構築プロセス,効果の観点から整理した。その結果,世界構築は物語の背景となる世界の構築プロセスであり,その効果として,物語理解や没入への影響などが示唆された。これらの議論を踏まえブランドの世界観を,ブランド・コミュニケーションの基盤となる,一貫性のある要素や設定によって豊かに意味付けされた世界やその価値観として位置付けた。さらに,空間的・時間的・社会的要素によって構成され,協働者やファンによっても構築,拡張されるとともに,その効果として,ブランドへの理解や愛着の促進などが期待されることを示し,今後の研究課題を提示した。