抄録
国立国語研究所共同研究プロジェクト「大規模日常会話コーパスに基づく話し言葉の多角的研究」では,『日本語日常会話コーパス』(CEJC)の構築を進めている.CEJCは,自宅での家族との会話や飲食店での友人との会話,職場での同僚との会合,散策時の会話など,日常生活における多様な場面の会話を,映像まで含めて収録・公開するものであり,世界的に見ても極めて新しい試みである.最終的には200時間規模のコーパスとして2021年度末に公開する予定であるが,コーパスの利用可能性や問題などを把握し今後の構築に活かすために,50時間のデータについて2018年12月にモニター公開を開始した.本稿ではCEJCモニター公開版の設計・構成やそれを用いた研究の可能性について概説する.