松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
TAXUS Liberte ステントの拡張に影響を与える要因の検討
岩坂 徹太田 哲郎岡田 清治伊藤 早希大岡 敏彦実重 英明南京 貴広小林 直紘石原 修二村上 林兒
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2010 年 14 巻 1 号 p. 43-48

詳細
抄録

背景:薬剤溶出ステントは経皮的冠動脈形成術の最大の課題である再狭窄を改善したが、再狭窄やステント血栓症は完全に解決されたわけではなく、依然として不十分なステント拡張はその原因の一つとなることが報告されている。目的:本研究の目的はTAXUS Liberte ステント留置時の拡張圧に対するステントバルーンのコンプライアンスチャートの径(理論的に得られると予想されるステント内径)と、実際の径とを比較することである。方法:定量的冠動脈造影を用い計測した病変部位におけるステント留置時のバルーン拡張中の内径(BD)、留置直後の内径(LD)、また、カタログのコンプライアンスチャートを参照して得られる理論上の内径(CD)からBD/CD 比(%)、LD/BD 比(%)、LD/CD 比(%)をステント拡張の指標として求め、前拡張の有無、拡張圧、病変部の石灰化性状がこれらの指標にどのように影響を与えるかを検討した。結果:単変量比較ではBD/CD、LD/BD、LD/CD それぞれで前拡張有と高度石灰化無が有意に大で高圧拡張では有意差は認められなかった。多変量分散分析はBD/CD を目的変数とすると、前拡張と高度石灰化が有意な要因となり(p<0.05)、それぞれは独立した要因で、LD/BD を目的変数とすると、前拡張と高度石灰化が有意な要因で、LD/CD を目的変数とすると、前拡張と高度石灰化が有意な要因であった。結語:TAXUS ステントは留置時に、コンプライアンスチャートの径に対して平均79.4%の拡が得られていた。また、多変量分散分析の結果より、TAXUS ステントの拡張は前拡張の有無と病変部石灰化の影響を受けると考えられた。

著者関連情報
© 2010 松江市立病院
前の記事 次の記事
feedback
Top