2020 年 20 巻 8 号 p. 377-385
切削油剤とプレス油の日本における変遷と,切削油剤とプレス油の作用機構について解説する。また,切削油剤ならびにプレス油は,作業環境の改善のために非塩素化が進められている。プレス加工では硫黄系極圧剤やリン系極圧剤,金属清浄剤を併用することで,塩素系に匹敵する性能が得られることが知られている。しかしながら,使用できる化学成分の規制は,今後厳しくなると考えられる。最近,酸素以外のヘテロ元素を含まないポリマー型極圧剤が開発されたので,このポリマーの絞り・しごき加工特性についても解説する。また,プレス油の開発においては,ラボレベルで加工特性を評価できるシミュレータが必要と考えられるため,開発した絞り・しごき加工時の凝着のシミュレータについても解説する。