抄録
中枢神経系疾患の後遺症で一つである痙縮足を主訴とする8名の患者に対して施行した,脛骨神経選択的部分切断術の効果を検討した.患者の機能傷害や痙性疼痛に応じて,顕微鏡下に神経束を分離し,選択的に部分神経束切除を行った結果,新たな機能障害を引き起こすことなく症状が緩和した.術前に,下肢装具を使用しなければ起立,歩行が困難であった7名中6名では,装具なしでの屋内歩行が可能となり,痙性疼痛を認めた4名では,全員の疼痛が消失した.合併症は,創部治癒遅延が1名で認められた他,重篤なものはなかった.又,3例で術側下肢全体の筋緊張の低下だけでなく,上肢の筋緊張の軽減が認められた.本治療法は,従来,本邦においてはあまり行われていなかったが,今後標準的治療として行われるべきである