2022 年 53 巻 1 号 p. 29-34
本稿では, 「学業不振が見られる学生」の支援として, 医療系学生の架空事例を以下の3つの視点から検討する. 1つ目は認知・神経心理学的視点から, 「認知特性と学習方略の不一致」および「高次脳機能障害」の可能性について述べる. 支援では, 特性の見極めと, 適切な学習方略の取り入れが大切になる. 2つ目は臨床心理学的視点から, 「アイデンティティ発達」の課題により「うつ状態」を呈している可能性を論じる. 支援には, 自己理解と環境調整が求められる. 3つ目は神経発達症の観点から, 「限局性学習症」の可能性を考える. この場合も, 特性に合う学習方略の工夫や, 継続的な動機づけが必要となる. 既述のような個別的理解に向け, 部門間の連携も期待される.