メソドロジー研究部会報告論集
Online ISSN : 2759-5684
PROX法と同時最尤推定法の概説
住 政二郎
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2015 年 6 巻 p. 96-116

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抄録
本稿の目的は,PROX法(the Normal Approximation Algorithm Method)とと同時最尤推定法について概説することである。PROX法と同時最尤推定法は,応答データから受験者能力と項目困難度を推定するために使われる。著者は,これまでラッシュモデルの導出(住, 2013)と項目反応理論の各モデル(住, 2014)についてまとめてきた。その後,プレイスメント・テストや教材開発に各モデルを利用してきた(住, 2014)。その際,受験者能力と項目困難度の推定にはRとWinstepを利用してきた。しかし,どのような計算過程を経て推定結果が出力されているのかについては十二分に理解していなかった。幸いにも大友(1996)にはPROX法について,靜(2007)には同時最尤推定法について詳細な概説がある。しかし,わずかではあるが記載内容に誤りと紙面の制約から説明が十分とはいえない箇所がある。この2冊は外国語教育研究にとって財産ともいえる貴重な書籍である。本稿は著者が一人の学習者となり,この2冊を通読し,その理解をまとめたものである。内容は研究ノート程度のものであるが,必要だと思われる箇所に解説を加え,計算過程が再現できるようにデータを公開した。これまで実践現場への応用には敷居の高かった項目反応理論ではあるが,R,そして,関西大学の水本先生が開発されたlang.testのおかげで身近に使えるものになった。本稿がこれから項目反応理論を学ぶ読者の助けになれば幸いである。
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© 2015 外国語教育メディア学会(LET)関西支部メソドロジー研究部会
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