2017 年 60 巻 p. 13-19
B型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質は肝細胞を特異的に認識する機能を有している。我々はこの機能を応用して, がん細胞などを特異的に認識可能とするバイオ中空ナノ粒子(BNC)の開発に成功している。一方で, 100 nm程度の大きさの過酸化チタン・ナノ粒子に, 放射線照射依存的にラジカルや過酸化水素を発生する能力を有することも明らかにしてきている。併せて, この無機ナノ粒子をBNCに包含する事にも成功しており, 担癌マウスを用いた実験において, 放射線照射依存的にがん組織の退縮効果を獲得することに成功している。本稿では, これまでの研究成果について紹介したい。