2017 年 60 巻 p. 55-59
近年, 2次資源から有用金属を回収するための分離技術開発の重要性が増しているが, リサイクルプロセスの最前段に位置する破砕・粉砕技術は, 目的成分を単体分離させ, リサイクルプロセス全体を省エネルギーかつ高精度化するための重要な技術である。廃電子基板中のタンタルはある特定の部品に集中して使用されていることから, タンタル回収には部品をできるだけ粉化させずに基板から剥離させ, 物理選別にてタンタルが使用されている部品を濃縮させるような「部品剥離選別」が有効である。このような部品剥離には, ドラム型衝撃式破砕機が有効であるが, 撹拌体形状は撹拌翼型よりもチェーン型の方が, より部品剥離に適していることがわかった。粉砕機内の部品剥離挙動を詳細に検討するために, 粒子ベース剛体モデルを組み込んだDEMシミュレーションを行ったところ, チェーンのたわみがより大きな衝突エネルギーの伝達につながっていることが確認された。