2019 年 62 巻 p. 30-38
二次電池や燃料電池などの電極は,活物質や触媒などの粉体を液に分散させたスラリーを塗工,乾燥して成膜している。そのようなスラリープロセスにおいて,生産性向上のためには高濃度化が図られるが,その場合,擬塑性流動やダイラタンシー挙動などのような非ニュートン流動を示すようになり,プロセス制御が困難になるため,その対策提示が求められている。そこで,単分散シリカ粒子を用いて,高濃度粒子分散液のレオロジー挙動とメカニズムを考察した。
その結果,高濃度シリカ粒子分散液は溶媒の粘度が上昇するのに伴って高せん断速度領域でダイラタンシー挙動を示すことがわかった。そして,このダイラタンシーを発現するせん断速度は分散媒の粘度と粒子径が増大するのに伴って減少するが,せん断応力は一定であることがわかった。このことからダイラタンシーは粒子の拡散とせん断による拡散の比であるPe数に依存することを明らかにした。