2023 年 66 巻 p. 21-28
固体電解質は不燃性のセラミックであり,リチウムイオン以外に拡散種を持たないことから,固体電解質を採用することにより,リチウムイオン電池に高い信頼性を付与することができるのみならず,電池のエネルギー密度,さらには入出力密度まで高めることができる。このような固体電池を実現するために不可欠な材料は,優れたイオン伝導性を有する固体電解質であり,精力的な探索の結果,様々な物質系で現行リチウムイオン電池に使用されている有機溶媒電解質と同等のイオン伝導度が達成されてきた。しかしながら,このような優れた材料物性も,電池材料間の接合界面における良好なイオン伝導性なくしては,電池性能につながることはない。固体電池の社会実装に向けては,材料間の接合が極めて重要な位置を占めるに至っており,材料研究者とプロセス研究者の融合がそのカギを握っているといっても過言ではない。