ミルクサイエンス
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原報
市販発酵乳“フィルムヨーク”から分離したLeuconostoc mesenteroides subsp. cremorisの細胞壁多糖の化学的, 免疫学的性質の解析
森 史樹中村 正男澤─中村 綾荒井 威吉浦島 匡
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2000 年 49 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

 スウェーデンで市販されている発酵乳“Filmjolk”から分離したLeuconostoc mesenteroides subsp. cremorisより, 細胞壁多糖を分離した。同多糖はさらに, HPLCによるゲル濾過で2つの成分 (CNP1とCNP2) に分離され, その分子量は850,000また81,000と推定された。CNP2は1H-NMR分析によって, 2種の多糖からなることが示された。そのうちの主要成分は, 5個のαアノマーおよび2個のβアノマーと, 残基ユニットとして非還元末端ガラクトピラノース, 2, 3位置換ガラクトピラノース, 3位置換ガラクトピラノースおよび3,6位置換ガラクトピラノースを, 3 : 1 : 1 : 2 のモル比で含むことが示された。一方少量成分は, 3個のαアノマーおよび1個のβアノマーと, 残基ユニットとして非還元末端グルコピラノース, 3,6位置換グルコフラノース, 4位置換グルコピラノースおよび6位置換N–アセチルグルコサミンを, 1 : 1 : 1 : 1 のモル比で含むことが示された。CNP1, CNP2とも, 試験管内でマウス脾臓細胞の増殖を有意に促進することが示された。

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© 2000 日本酪農科学会
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