ミルクサイエンス
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原著論文
Lactobacillus plantarum由来菌体表層グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素の結晶構造解析:水銀結合メカニズムの解明
米田 一成緒方 美月西山 啓太福田 健二安田 伸井越 敬司木下 英樹
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2019 年 68 巻 1 号 p. 3-11

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抄録

 乳酸菌は様々な機能性を有する代表的な有用細菌であるが,その機能を担う因子の一つとして,グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)が挙げられる。GAPDHは,乳酸菌の菌体表層にも局在しており,ヒト大腸ムチン,血液型抗原,細胞外マトリックス成分,プラスミノーゲンなどへの付着性を示すことが報告されている。また,乳酸菌には水銀吸着能があること,その吸着に菌体表層タンパク質が関与していることが明らかになっていることから,GAPDHが水銀結合に関与しているのではないかと考えた。そこでLactobacillus plantarum subsp. plantarum JCM 1149TのゲノムDNA配列情報をもとにgapをPCRにより増幅しpET28bベクターにクローン化した。本プラスミドをEscherichia coli Rosetta2 (DE3) pLysSに導入し,N-末端ヒスチジンタグ融合GAPDH(rGAPDH)として発現させた。rGAPDHをコバルトカラムを用いて精製,濃縮後,NAD+と混合し,結晶化を試みたところ,約0.5 mmの良質な単結晶を作製することに成功した。本結晶を用いてX線回折実験を行ったところ,最高分解能が1.85 Åであり,空間群は直方晶系であるC2221であった。また,本結晶化条件で析出した単結晶に対して水銀をソーキングした後にX線回折実験を行ったところ,最高分解能2.13 Åのデータ測定に成功した。GAPDHの有する4つのCys残基(Cys101, Cys156, Cys160, Cys328)のうち,触媒に関わるCys156以外の3つのCys残基がHg2+の結合に関与することを明らかにした。興味深いことに,rGAPDH-Hg2+複合体ではNAD+の電子密度が全く観察されなかった。これは,rGAPDHのNAD+結合部位にHg2+が結合することによってNAD+結合部位がHg2+に占有され,NAD+がrGAPDHに結合できなくなることが原因であると考えられた。また,Hg2+の結合様式はGAPDHのサブユニット間で異なっており,特にCys101のHg2+結合様式がA, Dサブユニット間で異なることを明らかにした。

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© 2019 日本酪農科学会
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