酪農科学・食品の研究
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個乳の温度活性化リポリシスとリパーゼ活性に及ぼす泌乳期の影響
斎藤 善一金 居猷
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1995 年 44 巻 4 号 p. A-139-A-145

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抄録
 個乳の冷蔵中に一時的に温度が上昇した場合の遊離脂肪酸の増加を対照と比較し,それに及ぼす泌乳期の影響を調査した。試料2.3mℓを20mℓ容共栓付試験管に採り,氷水中に24時間保存した場合の遊離脂肪酸の増加(パルミチン酸としてmg1mℓ)を自然発生リポリシスとした。冷蔵開始1時間後に20℃水浴中に3分間静置し,直ちに氷水中に戻した場合の遊離脂肪酸の増加を温度活性化リポリシスとした。さらに殺菌均質化乳を基質源として,0℃およひ37℃におけるリパ一ゼ活性を測定した。
 分娩4日後までの初乳(10頭)は,両リポリシス,リパーゼ活性共に低く,温度活性化がみられないが,6日後にはいずれも常乳期初期と同程度になり,温度活性化も明確になった。
 引き続き9頭を用いて分娩後8ヵ月までの調査をおこなった。リパーゼ活性については泌乳期の影響は明確ではなく,0℃,37℃活性は,それぞれ,1.3~1.8, 23.9~45.0×10-3mg/mℓ/minであった。リポリシスについては,リパーゼ活性よりも個体差が大きいが,泌乳期の進行にともない明らかに増大した。分娩後8ヵ月には自然発生リポリシスは1ヵ月の場合の8.6倍(146.3土142.1 mg/mℓ),温度活性化リポリシスは同じく9.1倍(318.0土293.7mg/mℓ)に達した。
 常乳期においては,温度活性化リポリシスと自然発生リポリシスの間の相関係数は高く,全牛については0.85で有意(p<0.001)であった。温度活性化リポリシスと0℃活性,37℃活性の間の相関係数は0.61, 0.37で有意(p<0.01, p<0.05)であった。しかし,各個体についてみると,高い相関を示すものと全く相関を示さないものがみられた。
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© 1995 日本酪農科学会
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