酪農科学・食品の研究
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総説
牛乳カルシウムの生体利用性および骨代謝に及ぼす影響
中島 一郎青江 誠一郎高田 幸宏加藤 健
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1996 年 45 巻 1 号 p. A-9-A-16

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抄録
・牛乳中の力ゼイン結合性力ルシウム,コロイド状カルシウムは,イオン性カルシウムまたは可溶性カルシウムよりも吸収性が高いことが推測される。
・牛乳から調製したカゼイン結合性力ルシウムならびにコロイド状カルシウム濃縮物(乳カルシウム濃縮物)を与えたラットは,尿中へのカルシウム排泄量が多く,また血漿カルシトニン濃度も増加した。大腿骨中のカルシウム増加量も大きく,これらの結果から,乳カルシウム濃縮物は腸管から受動的に吸収されやすく,生体に利用されやすい形態であると考えた。
・乳清タンパク質の投与は,骨粗鬆症モデルラットの大腿骨破壊耐性を高めた。これは骨基質を形成するコラーゲン量の増加に寄与したためと考えた。
・乳清タンパク質は骨芽細胞の増殖と,コラーゲン合成を促進した。
・骨芽細胞増殖に有効な成分を乳清タンパク質から分画した。この画分は塩基性タンパク質であった。
・塩基性タンパク質濃縮物は骨芽細胞増殖効果と,破骨細胞吸収抑制活性を示した。
・塩基性タンパク質濃縮物は腸管を通過し,消化酵素により分解されず,in vivoにおいても大腿骨強度を増加させ,骨基質形成を促進した。
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© 1996 日本酪農科学会
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