抄録
CAD開発における症例画像の不足を補うことを目的に,病変の存在しない画像に腫瘍等の病変を埋め込み,人工的に症例画像を作成する取り組みが行われている.これまで筆者らは,肝腫瘍や乳がん腫瘤影を対象に人工症例画像の作成とCAD開発への適用を行い,その有効性を示してきた.しかし,これまでは50%以上人工症例をCAD開発の学習データとして用いると,未知データに対しての判別性能が本物だけで学習したものに比べて若干劣ってしまう傾向であった.本研究では,人工症例画像のさらなる他部位への応用と人工症例のみでの高性能な判別器開発を目的とし,新たな対象として乳がん石灰化に着目して有効性検証を行った.石灰化は,これまでの肝腫瘍や乳がん腫瘤影とは大きく特徴が異なるため,新たな作成手法を開発した.この手法により作成した人工症例をCAD開発に用いた結果,100%人工症例での学習による判別器において,本物だけで開発した判別器と同性能の検出結果が得られた.