われわれは全身撮影可能な立位CTを企業と共同開発した.従来の臥位CTと同等の物理特性をもち,設置面積は従来のCTの3分の2で済み,X線撮影のようなワークフローで検査が行える.健常人での検討では,これまで位置が変化しないとされてきた脳や骨盤が立位で下垂していることがわかり,重力下の人体構造が少しずつ明らかになっている.特に,静脈は立位と臥位での容量変化が部位により異なっており,画像での静脈学を構築する端緒についた.また,骨盤底の緩みや躯幹・大腿などの部位ごとの筋肉量の評価も可能であり,個々の筋萎縮に応じた運動の仕方を示唆することができる.疾患としては,ヘルニア・臓器脱などは定量的に評価可能であり,変形性膝関節症のような運動器疾患の早期発見も可能である.さらに,嚥下・呼吸・排尿・歩行機能などの動態機能の評価とそれに関連する病態の早期発見が可能である.立位CTを通して,健康長寿の時代のニーズに貢献できることを目指したい.