抄録
本研究では,現代の日本人の摂取脂質エネルギー量増加に伴う肥満に注目し,ブナシメジ(Hypsizigus marmoreus)を含んだコレステロール添加あるいは無添加の高脂肪食を調製してラットに与え,脂質代謝改善作用について検討した.その結果,飼料摂取量は,コレステロール負荷の有無にかかわらず,対照群と比較してブナシメジ群で有意な低値が認められた.しかし,体重増加量に差は無かった.肝臓重量は,コレステロール添加のブナシメジ群で,有意な低値を示した.肝臓総脂質含量と肝臓トリアシルグリセロール(TG)は,コレステロール負荷の有無にかかわらずブナシメジ群で,有意な低値を示した.なお,コレステロール添加のブナシメジ群で,血清総コレステロール(TC)は有意な低値を示した.これらの結果より,コレステロール負荷の有無にかかわらず,ブナシメジ子実体には肝臓脂質蓄積抑制作用があることが示された.また,ブナシメジには食餌性コレステロールの血清TCを低下させる作用もあることが示された.