抄録
マンネンタケ子実体中の降圧成分の性状を明らかにするために,n-へキサンおよび水抽出物のアンギオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性を検討した.n-へキサン抽出物のACE阻害活性は水抽出物のそれよりも低く,ACE阻害活性成分が親水性物質であることを示した.2種の異なる菌株から栽培されたマンネンタケ子実体水抽出物のACE阻害性をLineweaver-Burkの方法で評価し,その阻害様式が競合阻害型であることが示された.水抽出物中には温和なACE競合阻害剤であるD-マンニトールなどの糖アルコール類が検出されたが,水抽出物のACE阻害活性はそれら糖アルコール類の阻害活性よりも高く,水抽出物中により阻害活性の高い成分の存在が示唆された.