タモギタケの黄色色素の生成に関与する酵素の単離精製を試み,子実体中にL-DOPAを基質として黄色色素を生成するタンパク質が存在することを明らかにした.本酵素は子実体の破砕液から硫安塩析,陰イオン交換クロマト,ゲルろ過により電気泳動的に単一に精製された.分子量測定の結果,SDS-PAGEにより約19kDa,TSK-Gel G4000SW_<XL>により約350kDaと推定された.本酵素の至適温度は28℃,至適pHは8であり,28℃以下およびpH5から8の範囲で安定であった.Co^<2+>,Fe^<2+>,Hg^+,Pb^<2+>および金属キレート試薬であるEDTAによって活性が阻害された.また,本酵素のL-DOPAおよびDopamineに対するKm値は1.2mM,1.1mMと類似した値を示したが,チロシンやカテコールといった一般的なチロシナーゼの基質とは反応しなかった.