抄録
新燃岳噴火に伴う火山灰が培地木粉に混入した場合の,シイタケ菌床栽培に与える影響について検討した.木粉のpHは灰の混合割合の増加とともに低下したが,米ぬかとふすまを栄養体として添加し含水率64%に調整した培地においては,pH及びECともに大きな変化は認められなかった.火山灰を混合した培地でのシイタケ菌糸成長は標準培地に対して抑制されたが,その差はわずかであり,火山灰の木粉への混入は培地表面でのシイタケ菌糸成長にあまり影響しないと考えられた.しかし,シイタケ子実体の総収量及び発生数は火山灰の混合割合の増加に伴って大きく減少することが明らかとなった.この原因の一つは,火山灰混入による培地の三相分布等の構造変化,すなわち,液相率の増加に伴う気相率の低下により培地内部への通気が妨げられたためと考えられた.