日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
ヒトクチタケ(Cryptoporus volvatus)子実体から得られたクリプトポール酸類の構造と生理活性について
大高 潤之介太向 咲恵五関 沙織三ヶ田 美和荒谷 博
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2013 年 21 巻 3 号 p. 113-122

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抄録
ヒトクチタケ子実体から15種のクリプトポール酸類(CPAs)を単離し,それらの構造を1D-,2D-NMR,HR-ESI-Q-TOF-MSなどのスペクトル解析により決定した.CPA-Dモノメチルエステル(9,CPA-P)はすでに既報にある構造であるが,詳細なスペクトル解析により,改めて,新規化合物であると報告した.また,化合物2,10,13は天然有機化合物として初めて単離した.さらに既知の5化合物,抽出中に生じたと考えられる6種のエチルエステル体も得た.以上の化合物についてレタス種子を用いたアレロパシー活性を調べたところ,化合物15が最も強い活性を示し(根:0.62mM,下胚軸:IC_<50>=0.83mM),次いで化合物1が強い活性を示した.また,単離した一部の化合物については予備的にHeLa細胞を用いたWST-1試験を25μMで行ったところ,化合物9のみが顕著な細胞毒性を示した.また,化合物8が有意な細胞増殖抑制活性を示した.
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2013 日本きのこ学会
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