日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
21 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 大高 潤之介, 太向 咲恵, 五関 沙織, 三ヶ田 美和, 荒谷 博
    原稿種別: 本文
    2013 年21 巻3 号 p. 113-122
    発行日: 2013/10/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    ヒトクチタケ子実体から15種のクリプトポール酸類(CPAs)を単離し,それらの構造を1D-,2D-NMR,HR-ESI-Q-TOF-MSなどのスペクトル解析により決定した.CPA-Dモノメチルエステル(9,CPA-P)はすでに既報にある構造であるが,詳細なスペクトル解析により,改めて,新規化合物であると報告した.また,化合物2,10,13は天然有機化合物として初めて単離した.さらに既知の5化合物,抽出中に生じたと考えられる6種のエチルエステル体も得た.以上の化合物についてレタス種子を用いたアレロパシー活性を調べたところ,化合物15が最も強い活性を示し(根:0.62mM,下胚軸:IC_<50>=0.83mM),次いで化合物1が強い活性を示した.また,単離した一部の化合物については予備的にHeLa細胞を用いたWST-1試験を25μMで行ったところ,化合物9のみが顕著な細胞毒性を示した.また,化合物8が有意な細胞増殖抑制活性を示した.
  • 福田 泰久, 白坂 憲章, 池永 知世, 楠田 瑞穂, 山内 政明, 寺下 隆夫
    原稿種別: 本文
    2013 年21 巻3 号 p. 123-128
    発行日: 2013/10/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    シロキクラゲ(Tremella fuciformis)培養基から抽出した粗酵素は,セルロース粉末,Avicelとp-nitrophenyl-β-d-glucopyranosideに加水分解活性を示し,本菌のエキソ型セルラーゼとβ-グルコシダーゼの生産性が示唆された.しかしながら,エンド型セルラーゼの活性は認められなかった.「Companion fungus」と考えられるクロコブタケ(Hypoxylon truncatum)由来の粗酵素液は,上記基質に対する活性に加えてカルボキシメチルセルロース(CMC)にも活性を示し,エンド型セルラーゼの生産性が示唆された.CMCを基質として各種クロマトグラフィーを用いてH.truncatum由来セルラーゼの精製を行い,酵素化学的諸性質を解析した.SDS-PAGEとゲル濾過で確認された単一タンパクの分子量は,それぞれ46,000と41,000を示し、本酵素は単量体であった.4糖(cellotetraose)以上のオリゴ糖に加水分解活性を示し,2糖(cellobiose)まで生成可能であった.H.trucatumとの共培養条件下において,T.fuciformisのセルロース分解機構における微弱もしくは欠落したエンド型加水分解を,本酵素が補うことが示唆された.
  • 木村 隆, 山本 恭介, 西川 善弘
    原稿種別: 本文
    2013 年21 巻3 号 p. 129-132
    発行日: 2013/10/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    ハナビラタケの菌糸体の抗腫瘍作用について初めて報告する.ハナビラタケの菌糸体と子実体をそれぞれ担がんICRマウスに30mg/kg/日,15日間経口投与した.腫瘍サイズを4週間経時的に測定し5週目には腫瘍の重量を計量した.子実体投与群では腫瘍の成長は有意に抑制されたが,菌糸体投与群では抑制効果は認められなかった.また,子実体投与群の腫瘍重量抑制率(%)は約50%に達したが,菌糸体投与群ではわずかに抑制されただけであった.メチル化分析の結果,菌糸体と子実体のβ-グルカン画分の組成には大きな違いがあった.菌糸体と子実体の抗腫瘍作用の違いは活性成分と推定されるβ-グルカンの構造と含量に起因するのかもしれない.
  • 村上 康明
    原稿種別: 本文
    2013 年21 巻3 号 p. 133-138
    発行日: 2013/10/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    菌床栽培エノキタケに害虫被害が発生したので,生態調査を行い,防除法を検討した.加害昆虫イシハラナミキノコバエは,野外で野生のエノキタケやヒラタケ上にみられた.栽培舎周辺では,廃棄子実体から羽化し,芽出し室へ侵入して加害し,室内での増殖はないと考えられた.また,成虫は栽培舎周辺に朝と夕方に飛来し,昼間は飛来しなかった.これらのことから,このキノコバエは元々の発生源は野生エノキタケとヒラタケであるが,栽培舎周辺においては廃棄子実体から羽化して芽出し室に侵入,生育不良で芽出し室から廃棄された子実体から羽化するというサイクルを繰り返していると考えられた.防除法としてはこのサイクルを断ち切ることが重要で,(1)栽培舎周辺に子実体を捨てないという羽化防止,(2)入口を二重扉にし,換気扇開口部等の侵入口をネット被覆する方法,さらにこのキノコバエの飛来時間帯を避けるよう扉開閉時間を変更する耕種的防除,(3)侵入した成虫に対する誘引捕殺,これらによってイシハラナミキノコバエを防除できると考えられた.
feedback
Top