日本きのこ学会誌
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菌床栽培エノキタケを食害するイシハラナミキノコバエの防除法
村上 康明
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2013 年 21 巻 3 号 p. 133-138

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抄録
菌床栽培エノキタケに害虫被害が発生したので,生態調査を行い,防除法を検討した.加害昆虫イシハラナミキノコバエは,野外で野生のエノキタケやヒラタケ上にみられた.栽培舎周辺では,廃棄子実体から羽化し,芽出し室へ侵入して加害し,室内での増殖はないと考えられた.また,成虫は栽培舎周辺に朝と夕方に飛来し,昼間は飛来しなかった.これらのことから,このキノコバエは元々の発生源は野生エノキタケとヒラタケであるが,栽培舎周辺においては廃棄子実体から羽化して芽出し室に侵入,生育不良で芽出し室から廃棄された子実体から羽化するというサイクルを繰り返していると考えられた.防除法としてはこのサイクルを断ち切ることが重要で,(1)栽培舎周辺に子実体を捨てないという羽化防止,(2)入口を二重扉にし,換気扇開口部等の侵入口をネット被覆する方法,さらにこのキノコバエの飛来時間帯を避けるよう扉開閉時間を変更する耕種的防除,(3)侵入した成虫に対する誘引捕殺,これらによってイシハラナミキノコバエを防除できると考えられた.
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2013 日本きのこ学会
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