日本きのこ学会誌
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低投入飼料用水稲栽培の生産性と土壌環境に対するヒメマツタケ廃菌床の効果
吉本 博明宮澤 紀子鷲見 亮木村 一彦瀬山 智子江口 文陽
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2016 年 23 巻 4 号 p. 173-178

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抄録

群馬県高崎市の低投入二毛作水田にヒメマツタケ廃菌床(ASC)を施用し飼料用水稲モミロマンを栽培し,ASCの効果を検討した.土壌細菌,放線菌,糸状菌すべてが増加したが,特に放線菌群数の増加が顕著であった.土壌硬度は有意に低下し,腐植,および,無機態窒素が増加したが,CEC,交換性塩基類については影響を及ぼさなかった.生産性については,草丈,稈長,穂長,穂数,一株あたり結実粒数,一株あたり子実重量,地上部全重が増加した.地上部全重は,ASCが14.8%増加した.内部品質については,分枝鎖アミノ酸であるisoleucine,leucine,およびvalineの増加が見られた.ASCの水田への施用は,土壌微生物数の増加,土壌の膨軟化,窒素の補給などにより,飼料用水稲の生産性と品質を向上させることが示唆された.

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2016 日本きのこ学会
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