抄録
2013年から2014年,大分県内の2箇所のほだ場でシイタケ子実体が褐変から黒変して腐敗する症状を認めた.現地から持ち帰ったほだ木を試験場内の人工ほだ場で管理したところ,翌年に同様な症状の発生を確認した.また,試験場内の人工ほだ場で栽培中の交配株に同様の症状を認めた.褐変から黒変した腐敗子実体をA-D3培地を用いて分離したところ,中心部が黄色で周囲が乳白色になる集落が検出された.また,同じ集落性状を示す細菌は,ほだ木の外樹皮表面からも検出された.分離菌の16S rRNA遺伝子解析の結果,Ewingella americana et al. 1984と同定された.子実体およびほだ木樹皮表面から分離したE. americanaを菌床シイタケに注入接種すると,接種5日後に原病徴を再現したことから,分離菌の病原性を効率的に確認する方法を確立することができた.