ショウロは古来より日本国内で親しまれてきた食用きのこであり,人工栽培に適した優良菌株の交配育種に向けた研究が進められている.本研究では,多くのホモカリオンを効率的に分離するための培地条件を明らかにすることを目的として,MMN培地をベースにその組成を改変した5種類の寒天培地において担子胞子発芽試験と菌糸伸長試験を実施した.供試したすべての培地において胞子は発芽し,菌糸体コロニーが観察されたが,蒸留水で5倍および10倍希釈したMMN培地において高い発芽率を記録した.また,菌糸成長量においても同様に,蒸留水で5倍および10倍希釈したMMN培地において大きく,胞子発芽と菌糸伸長に適した培地条件は共通である可能性が示唆された.供試した5種類の寒天培地のうち5倍希釈MMN寒天培地において最も発芽率が高く,さらに,多くの菌糸体コロニーが観察されたことから,本培地はホモカリオンを効率的に得る上で有効であることが示唆された.