日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
シイタケ菌床への散水および浸水処理がセモンホソオオキノコムシ幼虫の発育に与える影響
北島 博 坂田 春生
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2017 年 25 巻 3 号 p. 90-93

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抄録
セモンホソオオキノコムシは,原木シイタケ栽培の害虫として知られている.ところが,近年,菌床シイタケ栽培において本種成虫が数多く見られるようになってきた.そこで,本種幼虫の菌床での発育可能性を調べた.次に,菌床への散水頻度や菌床の浸水処理と幼虫の生存率や発育との関係を調べ,本種の耕種的防除法を検討した.幼虫はシイタケの子実体だけでなく菌床でも発育できることがわかった.このことは,菌床シイタケ栽培では,栽培施設内で菌床を摂食して増殖していることを示す.また,菌床へ適切に散水が行われれば,菌床内の幼虫の生存率が低く,発育が遅く,得られる成虫も小さくなった.さらに,菌床の浸水処理で菌床内の幼虫の約8割を駆除できた.これらのことから,適度な散水と菌床の浸水によって,本種の被害を軽減できることが示唆された.
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2017 日本きのこ学会
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