抄録
ゴルフ場の芝生などにおいて,芝が輪状に繁茂し,時には枯れ,後に担子菌がリング状に子実体を形成する“フェアリーリング病”と呼ばれる現象が知られている.この現象は,植物と菌類との化学コミュニケーション(化学シグナルのやりとり)によって生じている可能性がある.このことから,本研究では,シバが産生し,担子菌の成長に影響を及ぼす物質を探索した.その結果,ベントグラス(Agrostis stolonifera)から菌糸体成長調節物質の単離・精製に成功した.この化合物をNMRと質量分析に供し,2-acetyl-3, 5-dimethoxyphenolと同定した.この化合物は担子菌であるコムラサキシメジ,エノキタケ,ウシグソヒトヨタケの菌糸体伸長に対して抑制活性を示した.