日本きのこ学会誌
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Print ISSN : 1348-7388
ブナハリタケのモノカリオンがクランプ細胞を形成する表現型は,交配型と遺伝的にリンクしていない
リファニー リニー和田 崇志陳 富嘉霜村 典宏山口 武視會見 忠則
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2019 年 27 巻 4 号 p. 128-133

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抄録
ブナハリタケMycoleptodonoides aitchisoniiは食用木材腐朽性のきのこである.このきのこの一部の担子胞子分離株は,完全な子実体と真のクランプ細胞を形成できることが以前に報告された.真のクランプ細胞が観察された頻度を,ダイカリオンとモノカリオンの間で比較すると,ダイカリオンでの頻度は,モノカリオンでの頻度よりもはるかに高かった. TUFC50004株からの担子胞子分離株である二核株TUFC50004(F1)およびTUFC50004-7×TUFC50004-18(F2)からの担子胞子分離株間で交配不和合性グループを調べた.両方の交配不和合性グループは2グループに分割されたため,ブナハリタケは二極性きのこであった.さらに,減数分裂後には,交配型に関する組換え体が分離できなかっため,ブナハリタケの交配型遺伝子座はサブユニット構造を持たない単一遺伝子座である可能性が示唆された.クランプ細胞形成可能なモノカリオンの表現型とその交配型との間に遺伝的連鎖は観察されなかった.したがって,モノカリオンがクランプ細胞を形成能力は,交配型遺伝子座に連鎖していないと考えられる.
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2019 日本きのこ学会
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