抄録
きのこ類の中で,子実層托が管孔状の子実体を形成するものは多孔菌類と総称される.多孔菌類は森林生態系の維持に重要な役割を演じている一方,人類の経済活動においても重要な菌類であるが,アジア地域における本菌類の分類学的研究は遅れている.本稿では,キクラゲ目とタマチョレイタケ目に属する多孔菌類を対象とした分類学的研究の概要について紹介した.研究の成果として,キクラゲ目に所属するElmerina属が多系統群であることを明らかにし,Apropium属とProtodaedalea属を独立属と認め,Apropium属の新種1種,Apropium属とProtodaedalea属の新組み合わせ2種を提唱した.Melanoderma属(タマチョレイタケ目)の1新種を記載するとともに,シスチジオールが本属種の判別形質として重要であることを明らかにした.Polyporus属Polyporellusグループ種(タマチョレイタケ目)の分類学的検討の結果,新種1種および日本新産種1種を記載した.また,日本産Apropium属とその近縁属,およびMelanoderma属の詳細と種リストを示した.