抄録
アラゲキクラゲの供給は従来,外国産に依存してきたが近年,輸入農産物のリスクがきのこでも顕在化したことで積極的な国内産の利用が進んでいる.これまでに安定生産に向けた試みが進展しているものの依然として収量の向上や栽培期間の短縮といった生産力強化が必要である.炭酸カルシウム資材を添加する記載についてはアラゲキクラゲの栽培説明書や栽培試験を伴う各報告において多く見受けられるものの,その添加効果について検討された例は見当たらない.そこで本研究では全国的に広く流通する炭酸カルシウムを主成分とする貝化石を用いて菌糸伸長におけるその添加効果を明らかにした.また栽培試験における収量性から貝化石の適量添加によりアラゲキクラゲ栽培において一般的に60日以上必要とされる培養期間を40 - 50日まで短縮可能であることを示した.