抄録
ほだ木への泥跳ね並びにA0層およびA層からの放射性Csの移行抑制を目的として,ほだ場に敷設されている透水性防草シート(WCS)の追加汚染への影響を調査した.福島第一原子力発電所事故から3年後に実施した長期の調査では,WCSの敷設により子実体およびほだ木の放射性Cs濃度は無処理区より増加した.また,ほだ木下部から吸収された放射性Csは,その後ほだ木上部および横木へと移動していることも示唆され,WCSの敷設はほだ場に設置されたほだ木全体の汚染も促進していると考えられた.一方,原発事故6年後に実施した短期の追試では,WCS敷設による追加汚染は認められなかった.栽培期間が長期に渡る場合、WCSの敷設よりも土壌中の放射性Csを選択的に固定し容易に放出しない物質を用いる異なる手法を検討する必要があると考えられた.