抄録
福島原発事故後に生育した10年生コナラ萌芽木は,樹皮部と材部の放射性Cs濃度比が1.9:1で,樹皮部の蓄積率は約28%であり,フォールアウトの影響を直接受けたコナラ立木における樹皮部の蓄積率が90%とする報告と異なった.樹幹の高さ1 ~ 3 mの範囲では,1 m位置の放射性Cs濃度が高い傾向が見られた.また,原木の放射性セシウム濃度に対する太枝部,および幹部の樹皮部と材部の濃度との相関を求めた結果,材部との相関(R2 = 0.875)が最も高かったことから,原発事故後に萌芽したシイタケ原木の簡易な調査方法として,立木の一番玉位置の材部で判定する手法の有効性が示唆された.また,同一林分内の原木の放射性セシウム濃度は,鉱質土壌の交換性K濃度と負の相関(R2 = 0.731)を示したことから,一般的に交換性K濃度が低い斜面上部の立木から検体を採取することにより林分の過小評価を軽減できる可能性を見いだした.