アラゲキクラゲやキクラゲは近年生産量・消費量ともに拡大しているきのこであるが,日本国内では共に統計上「きくらげ(類)」として扱われており,流通量の9割が中国産である.本研究では,日本産アラゲキクラゲ,中国産アラゲキクラゲおよび中国産キクラゲ乾燥商品について,24種類の無機元素含有量を調査した.その結果,20元素は菌種または生産地,あるいはその両方により含有量に有意差が認められた.24元素中19元素は中国産キクラゲが最も高含有であった.次いで,多量元素のK, Mg, P, Caでは日本産アラゲキクラゲが,微量元素のFe, Mn, Cr, Al, Pbなどは中国産アラゲキクラゲが高含有であった.重回帰分析の結果,18種類の元素の含有量は産地よりも菌種の影響を受けることが示唆された.
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