抄録
Tricholoma matsutake(マツタケ)の乾燥子実体を,主たる栄養源として生育可能なPaenibacillus sp. MU1株を土壌より分離した.本菌株は,マツタケの細胞壁を消化するため,マツタケ形質転換法におけるプロトプラスト形成に役立つ可能性がある.本菌のドラフトゲノム配列は,合計6.6 M-bp,平均長さ184,698 bpの36のコンティグで構成されていた.本菌株がもつ分解活性の内,α-1,3-グルカナーゼ (Mu1Agl)を精製し,その酵素諸性質を解析した.Mu1Aglはムタン(α-1,3およびα-1,6結合構成D-グルカン)に加水分解活性を示すが,他の多糖類やオリゴ糖には反応性を示さなかった.また,リン酸緩衝液中でpH 6.0付近,40°Cで最大の活性を示した.質量分析および全ゲノム解析情報を基に,Mu1Agl遺伝子をクローニングしたところ,推定アミノ酸配列は,Paenibacillus属のα-1,3-グルカナーゼと高い相同性を示した.これらの結果から,Mu1AglはGH family 87のマイナーグループ(サブグループ3)に分類されることが示唆された.