抄録
アミスギタケ Polyporus arculariusの子実体発生を分子遺伝学的に解析するツールを開発するため,単核性ホモカリオンを単離し,ソバ殻培地で栽培した後,その生活環を走査型電子顕微鏡と蛍光顕微鏡観察により調べた.ヘテロカリオンTUFC14290の子実体から誘導されたホモカリオンTUFC14290-1は単核性子実体を効率よく形成した.TUFC14290-1株では子実体の担子器に担子胞子と小柄が観察され,担子器上の小柄の数は,ほぼ2個であった.ホモカリオンTUFC14290-1の子実体は一つの核を含む担子胞子を形成し,発芽によりモノカリオンを生じた.以上の結果から,ホモカリオンTUFC14290-1は,木材腐朽菌である多孔菌類において単核性の生活環を示すことができる有用な菌株であることが明らかとなった.今後,本菌株を用いたアミスギタケの子実体形成の分子機構の解明が期待できる.