近年の合成技術の発達により,1 つの粒子の中に2 つ以上の異なる表面を有する異方性(Janus) 粒子の作製が可能となった. この十数年で実験・シミュレーション問わず,Janus 粒子系ではその表面異方性に起因する様々な複雑な自己集合過程や構造が確認されているにも関わらず,その複雑な自己集合構造と物性の関係性は明らかになっていない.本研究では粗視化分子シミュレーションを用い,せん断流れ下におけるJanus コロイド分散液およびJanus コロイド–ポリマー混合溶液の粘性挙動を調べ,自己集合構造との関係性の解明に取り組んだ.Janus コロイド分散液の場合,せん断流れの大きさに応じて,クラスターの成長,変形,分裂,崩壊が観察された.また,Janus コロイド分散液の粘性挙動はクラスターの形状ではなく,コロイド粒子同士が形成するクラスターの平均会合数が支配的であることが明らかとなった.Janus コロイド–ポリマー混合溶液は,純粋なJanus コロイド分散液と比較して,より大きなせん断速度でクラスターの崩壊が観察され,ポリマーは接着剤のような役割を果たすことが明らかとなった.