セイヨウカボチャ(Cucurbita maxima)においては,冬から春までの端境期に出荷できる高貯蔵性品種の育成が求められている.本研究はカボチャ果実の糖代謝の特徴から貯蔵性選抜指標を見出すことを目的に,貯蔵性の異なる品種を 3 年間供試し,10 ℃貯蔵中の果実の乾物率,デンプンおよび可溶性糖含量を分析した.試験年を通して,長期貯蔵用品 種の‘白爵’と‘おいとけ栗たん’は,貯蔵中のデンプン含量が高かった.乾物率は収穫年の貯蔵中のデンプン含量の順に値が高かった.生食用の‘コリンキー’を除いた品種は貯蔵中にデンプン含量が急速に減少し,可溶性糖含量が急増したが,乾物率の変化はそれに比較して少なかった.‘白爵’と‘おいとけ栗たん’は貯蔵初期にスクロース含量が急増し,標準品種の‘えびす’に比較して貯蔵中のスクロース含量は高く推移したが,グルコース含量は低いレベルで増加した.同様の結果は,2018 年にデンプン含量の高かった‘雪化粧’にも見られた.‘白爵’,‘おいとけ栗たん’,‘雪化粧’の貯蔵前のグルコースと総可溶性糖含量は低い値を示し,この傾向は高貯蔵性品種の選抜指標として利用可能であることが示された.