農研機構研究報告
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原著論文
温度及び味・風味が粒子に関連する口中感覚に及ぼす影響
中野 優子 早川 文代香西 みどり
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2020 年 2020 巻 5 号 p. 49-56

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抄録

温度及び味・風味が粒子に関連する口中感覚に及ぼす影響を,ニンジンピューレと微結晶セルロース懸濁液を用いて検討した.破砕の程度が異なる3 種のピューレについて,コントロール(20 °C,無添加)と低温(10 °C),高温(60 °C),グラニュー糖添加(20 °C),クエン酸添加(20 °C)試料間の2 バイトテクスチャー試験による硬さ,凝集性,付着性および官能特性を比較した.低温試料では,機器測定による硬さと付着性はコントロールよりも有意に高かったが,知覚される粒子感やなめらかさに差は無かった.破砕の程度が粗いピューレでは,高温またはグラニュー糖添加でなめらかさが高く,この影響は粒子を感じやすい条件で現れると考えられた.次に粒子を知覚しやすい微結晶セルロース懸濁液を用い,コントロール(20 °C,無添加)と低温(10 °C),高温(60 °C),グラニュー糖添加,クエン酸添加,バニラエッセンス添加,レモンエッセンス添加(いずれも20 °C)試料の粒子感を,口に入れた直後,口腔内保持中,嚥下後に評価した.その結果,香りは粒子感に影響せず,高温またはグラニュー糖添加で粒子感は低下した.クエン酸添加試料では嚥下後の方が粒子感は強く,口に入れてからのタイミングを考慮した評価の必要性が示された.

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