農研機構研究報告
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原著論文
リンゴ新品種‘紅みのり’
阿部 和幸副島 淳一別所 英男森谷 茂樹岩波 宏古藤田 信博増田 哲男小森 貞男岡田 和馬伊藤 祐司土屋 七郎高橋 佐栄加藤 秀憲土師 岳石黒 亮清水 拓樫村 芳記
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2023 年 2023 巻 16 号 p. 15-28

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抄録

‘紅みのり’は 1981 年に‘つがる’に‘ガラ’を交雑して得た実生から選抜した,早生で果皮が濃赤色のリンゴ品種である.2009 年からリンゴ盛岡 67 号の系統名でリンゴ第 6 回系統適応性検定試験に供試し,2017 年 2 月の平成 28 年度果樹系統適応性検定試験成績検討会(寒冷地果樹)で新品種候補にふさわしいとの合意が得られ,2019 年 4 月に登録番号第 27427 号として種苗法に基づき品種登録された.‘紅みのり’の樹勢は中程度, S 遺伝子型は S3S5 であり,‘ふじ’,‘つがる’等の主要経済品種とは交雑和合性を示す.斑点落葉病に対して抵抗性であり,黒星病には罹病性である.系統適応性検定試験の結果,短果枝の着生性は中ないし多で,満開日は ‘つがる’と同時期である.果実の収穫盛期は‘つがる’より 6 日程度早い早生品種である.果皮は濃赤色,果実重は 270 g で,‘つがる’より 24 g 程度小さい.果肉硬度は 16.4 ポンドであり,‘つがる’より有意に高い.糖度は 13.4%程度,酸度は‘つがる’より高い 0.33 g/100 ml 程度である.栽培地域,年次によって裂果の発生が認められる.気温が高いリンゴ産地においても‘つがる’と比較して安定して良好な着色が得られ,果肉が軟化しにくいため,‘つがる’において着色不良が発生しやすいリンゴ産地での普及が見込まれる.

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