本研究では,圃場試験から入手したデータと積算気温および積算受光量を用いて,加工・業務用野菜の主要品目であるダイコンとキャベツの収穫適期簡易判定を試みた.ダイコンについては,根の生体重と積算気温の関係,そして,乾物重と積算受光量の関係,一方,収穫部位の目視が可能なキャベツについては,生育量の代わりに結球の成熟度を把握する指標として知られる球形比および結球緊度と積算気温の関係に注目した.ダイコンの生体重と積算気温の関係,そして,乾物重と積算受光量の関係を用いる場合,収穫適期の判定結果は概ね良好だったものの,前者を用いた場合には低温年の収穫適期判定に課題が残された.キャベツの球形比と積算気温の関係は,加工・業務用キャベツとして好まれる寒玉系品種の収穫適期,特に,その開始時期を判定するのに適していた.一方,結球緊度と積算気温との関係は収穫適期の終了時期を判定するのに有用であり,球形比と併用することにより収穫適期判定の信頼性が向上することが期待された.これらの結果をもとに,両品目の収穫適期簡易判定法を開発する方向性について考察を行った.