農研機構研究報告
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2024 巻, 19 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
表紙・目次・編集委員会・奥付
原著論文
  • ―収穫適期簡易判定法の開発に向けて―
    石川 葉子, 岡 紀邦, 深山 大介, 中島 隆博
    2024 年2024 巻19 号 p. 1-
    発行日: 2024/11/28
    公開日: 2024/11/28
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    本研究では,圃場試験から入手したデータと積算気温および積算受光量を用いて,加工・業務用野菜の主要品目であるダイコンとキャベツの収穫適期簡易判定を試みた.ダイコンについては,根の生体重と積算気温の関係,そして,乾物重と積算受光量の関係,一方,収穫部位の目視が可能なキャベツについては,生育量の代わりに結球の成熟度を把握する指標として知られる球形比および結球緊度と積算気温の関係に注目した.ダイコンの生体重と積算気温の関係,そして,乾物重と積算受光量の関係を用いる場合,収穫適期の判定結果は概ね良好だったものの,前者を用いた場合には低温年の収穫適期判定に課題が残された.キャベツの球形比と積算気温の関係は,加工・業務用キャベツとして好まれる寒玉系品種の収穫適期,特に,その開始時期を判定するのに適していた.一方,結球緊度と積算気温との関係は収穫適期の終了時期を判定するのに有用であり,球形比と併用することにより収穫適期判定の信頼性が向上することが期待された.これらの結果をもとに,両品目の収穫適期簡易判定法を開発する方向性について考察を行った.

  • 大木 信彦, 高橋 将一, 高橋 幹, 河野 雄飛, 小松 邦彦
    2024 年2024 巻19 号 p. 17-
    発行日: 2024/11/28
    公開日: 2024/11/28
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    「ふくあかね」は,2005年秋に独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター作物機能開発部大豆育種研究室(現 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター暖地水田輪作研究領域作物育種グループ)において,九州地域での栽培に適する赤大豆品種の育成を目標として,大分県で収集された在来の赤大豆「竹田在来87E」を母に,晩生の大粒黄大豆育成系統「九交980-11」を父として行った人工交配から育成された系統であり,2022年に品種登録された.「ふくあかね」は西日本の主力品種「フクユタカ」と比較して粒が大きく,種皮は“褐赤”に分類される.「ふくあかね」は「フクユタカ」と比較して収量が低い,青立が多く,倒伏に弱い等の欠点があるが,初めて品種登録された赤大豆で,2022年には32 haの作付け実績があり,生産面積が徐々に拡大している.

  • 平林 秀介, 竹内 善信, 加藤 浩, 石井 卓朗, 佐藤 宏之, 前田 英郎, 太田 久稔, 安東 郁男, 根本 博, 春原 嘉弘, 後藤 ...
    2024 年2024 巻19 号 p. 31-
    発行日: 2024/11/28
    公開日: 2024/11/28
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    「やまだわら」「えみだわら」及び「とよめき」は日印中間型超多収品種「ミズホチカラ」の多収性を取り入れる目的の交配から育成され,それぞれ平成26年,令和4年,平成29年に品種登録された品種である.「やまだわら」「えみだわら」は関東・北陸以西の地域に適し,「とよめき」はそれに加えて東北南部平坦地に適する.「えみだわら」は「やまだわら」より登熟に要する期間が短い.この3品種は耐倒伏性に優れており,多肥栽培によって多収となる.早植では70 kg/a以上,晩植でも60 kg/a前後の精玄米重を示し,一般主食用品種よりも明らかに多収である.玄米品質は「やまだわら」は良質とされる「朝の光」より劣り,「えみだわら」は「朝の光」と同程度で,「とよめき」は「コシヒカリ」より劣る.この3品種の炊飯米の物性は「コシヒカリ」と比較し,テンシプレッサーによる‘表層の硬さ’の値が高く,‘表層の付着量’が少ない.また食味官能試験においても「硬さ」が高く「粘り」が低い.このため,「べたつき」が少なく工場ライン炊飯に適するコメや,ピラフ,チャーハンなどに適するパラリとした食感のコメを求める外食・中食業者の需要に応えることができる.

  • 小野崎 隆, 藤本 卓生, 東 未来
    原稿種別: 研究論文
    2024 年2024 巻19 号 p. 43-
    発行日: 2024/11/28
    公開日: 2024/11/28
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    ダリアは切り花の日持ち性に劣るため,2014年から日持ち性の向上を目標としたダリア育種を開始した.22品種を育種材料として品種間交雑を行い,日持ち日数による選抜とその選抜系統間での交雑を,2014年から2021年まで4世代繰り返した.2021~2022年に系統適応性検定試験を実施した結果,白色花色の第4世代系統909-4,および花色が観賞中に明赤色からアプリコット色に変化する第3世代系統916-34の2系統が新品種候補として有望と判定され,2023年7月に,それぞれ「エターニティムーン」および「エターニティサンセット」として品種登録出願した.2品種の最大の特徴は,優れた日持ち性である.2021~2022年の調査で,2品種の日持ち日数は,蒸留水で8.4~12.1日(切り花用主要品種「かまくら」の1.5~2.2倍),品質保持剤のGLA液で8.8~11.9日(「かまくら」の1.5~1.9倍)であった.2021~2022年に全国5カ所で栽培時期の異なる作型で栽培した切り花も同様の良日持ち性を示したことから,2品種の優れた日持ち性は環境によるものではなく,品種特性であることが明確に示された.

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