ネットワークポリマー論文集
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ビスフェノールBを用いたノボラック樹脂の合成と性質:
ビスフェノールBを用いたノボラック樹脂の合成と性質: ビスフェノール類に着眼した柔軟性をもつフォトレジスト材の開発
山﨑 博人西村 利康
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2022 年 43 巻 3 号 p. 111-122

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抄録

ポジ型フォトレジスト材を用いたドライフィルムを作製できるようになれば,新たなニーズの展開が期待できる。著者は柔軟性をもつレジスト用ノボラック樹脂の開発を試みる中で,フェノール(PhOH)成分として分子鎖骨格に嵩高いイソプロピリデン基をもつビスフェノールC(BisC)とグルタルアルデヒド(Glu)を組み合わせたBisC/Glu ノボラック樹脂は,極めて高い柔軟性と4 μm 以下の良好な描画能を発現することを見出した。 本稿ではより高い柔軟性と高精度なリソグラフィ性能を有するノボラック樹脂の開発を目指し,嵩高さに加えてアルキル側鎖伸長による柔軟性発現への相乗効果がもたらされるものと期待して,メチルプロピリデン基をもつビスフェノールB(BisB)と,架橋剤であるGlu あるいはホルムアルデヒド(Form)からなる,BisB/Glu およびBisB/Form ノボラック樹脂を新規に合成し,その性質を検討した。BisB 型ノボラック樹脂は,アルデヒド類の組合せにかかわらず,アルデヒド成分の仕込み割合の増減に対するMw 変化は乏しく,BisB/Glu とBisB/Form ノボラック樹脂のMw は,それぞれ3000 ~3300 程度と1200 ~1900 程度となった。そして,架橋剤の仕込モル比の増加に伴い,アルカリ水溶液溶解速度(DR)は低下する傾向を示した。これは一般的なノボラック樹脂に見られるMw とDR の相関関係とは大きく異なっていた。 得られたノボラック樹脂の中から、DR ≦800 Å/sec の条件を満足するノボラック樹脂を選別し,シリコンウェハ上に樹脂膜厚1.5 μm となる様に塗布し,レジストパターンを作製して描画性能を評価した。BisB/Glu とBisB/Form ノボラック樹脂は,良好な柔軟性を発現した。特に,BisB/Glu ノボラック樹脂はBisC/Glu ノボラック樹脂と同程度の極めて高い柔軟性を発現することを,折り曲げ試験より確認した。両ノボラック樹脂は高い描画能(パターンニング:3 μm 以下,残膜率:90%以上)を発揮し,BisC/Glu ノボラック樹脂の描画能を僅かに超えることができた。

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© 2022 合成樹脂工業協会
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