抄録
リグニン(L)にエポキシ基を導入したエポキシ化リグニン(EL)の熱硬化性エポキシ樹脂への適用を検討した。L 及びEL は軟化温度が高く,樹脂の加熱硬化時に溶融流動性が得られないことが課題として挙げられる。 そこで本研究では,EL 合成時の高分子量化を抑制し,エポキシ基をより多く導入するようにエポキシ化条件を最適化した。コニフェリルアルコール(CA)のエポキシ化をモデル反応として用いることにより合成条件を調査した。CA を相間移動触媒存在下,エピクロロヒドリンと反応させてクロロヒドリン化し,その後水酸化ナトリウム水溶液により閉環させる二段階法によりエポキシ化した。1H-NMR スペクトルにより生成物の構造を確認し,最適触媒の選定及び合成条件の適正化により合成条件を最適化した。次に,その条件をもとにリグニンをエポキシ化した。分子量の大幅な増加は確認されず,エポキシ基の導入により軟化温度を約40℃低減できた。最終的に,合成したEL をフェノールノボラック(PN)により硬化させた。硬化物のガラス転移温度(Tg)は155℃であり,石油由来エポキシ樹脂硬化物より10℃高かった。また,800℃における残渣は33%であり,難燃性を示すことが示唆された。