人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
原著
経膣超音波検査と経腹下腹部超音波検査における婦人科領域の所見比較
相馬 優希水沢 芙美奈宍戸 淑子城下 奈央平林 和子小池 秀夫
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 32 巻 1 号 p. 46-54

詳細
抄録
目的:経膣超音波検査(以下,経膣US)と経腹下腹部超音波検査(以下,下腹US)の婦人科領域の所見を比較し,下腹USの精度が低いと考えられる要因や,病変のとらえ方の相違などを,子宮筋腫の観察を用い検討することで明らかにする.
対象と方法:対象は2014年4月1日から2015年3月31日までに当センターの二日ドックを受診し,オプション検査として経膣USを実施した266名.経膣USと下腹USの所見について,所見の有無,大きさ,指摘部位を比較し検討した.
結果:経膣USを実施した266名中,有所見者は165名(62.0%)であった.経膣US有所見者165名のうち,下腹US有所見者が132名,無所見者が33名であった.無所見者33名のうち,経膣USで子宮筋腫を指摘されている受診者は21名であった.経膣USで指摘できたが下腹USで指摘できなかった病変21例中,見落とした要因は筋腫の境界不明瞭が最も多くみられた.また,部位は底部が最も多く,消化管ガスによる描出不良が大きく影響していると推測できた.筋腫の大きさの分布を比較すると,下腹USで見落とした腫瘍径の平均は15.3mm,描出できた腫瘍径の平均は29.4mmであり大きさも見落とした要因の1つであるといえる.
結論:病変の検出率は経膣USが下腹USよりもやや高いが,僅差であり,下腹USの検査精度は期待できるものであった.両者の特性の違いを理解し併用することで検査精度の向上を期待する.
著者関連情報
© 2017 公益社団法人 日本人間ドック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top